第4フェーズ/2010年代~現代まで

一般財団法人川崎市まちづくり公社の時代

時代背景

バブル崩壊以後②

  • 地球温暖化
  • SDGs
  • サスティナブルシティ
  • 公共施設の長寿命化

2008(平成20)年12月の公益法人関連3法(法人法、認定法、整備法)の施行に伴い、当公社は2013(平成25)年4月に「財団法人川崎市まちづくり公社」 から「一般財団法人川崎市まちづくり公社」に移行しました。

この間、バブル崩壊以後20年以上が経過する中でわが国では経済の低迷が続いており、一方では既存インフラの老朽化や少子高齢化といった課題もあり、さらに地球温暖化など世界規模の課題もある中で、サスティナブルシティやSDGsなどの考え方に基づく持続可能な社会の形成が求められるようになってきています。

こうした中、当公社においても、既存施設の計画的な維持保全の視点から、各拠点地区におけるまちづくりを支える施設について、これまでに整備•運営してきた施設の運営の充実を図るとともに、2010(平成22)年12月には新百合トウェンティワンビルを取得するなど、施設整備から施設運営に重点を移し、引き続き、各拠点地区の都市機能の充実を図っています。

一方、市内の公共施設は高度成長期から安定成長期にかけて集中的に整備されたものが多く、経年とともに老朽化が進んでいることから、これらの施設の長寿命化を図る必要があるため、計画的な修繕の業務が増大している中で、市役所における団塊世代職員が定年に達し、ノウハウのある建築技術職が大量に退職し、市職員のマンパワー及び技術力不足の問題が深刻化してきたことから、市の業務を補完するために、2007(平成19)年4月に川崎市とまちづくり公社との間で「川崎市公共建築物の維持及び保全のための相互協力に係る基本協定」を締結し、公共施設の維持保全に係る業務受託事業(年度協定業務)を開始しました。

この事業に基づき、市職員が行う公共建築物の維持•保全に伴う設計及び工事監理を公社採用の市OB技術職員等が代行することによって市の業務支援を行っています。これと併せて、市の出資団体等が運 営する公共的施設の改修等についての業務支援も行っています。

また、市への出資団体等への支援と併せて、川崎市耐火建築助成公社が設立された当初から行ってきた民間耐火ビルの設計監理技術支援業務も継承しており、最近の事例では公益社団法人川崎市歯科医師会からの依頼による歯科医師会館の建替え事業につ いて、まちづくり公社のプロパー職員の直営による設計•工事監理を行っています。

一方、教育施設の立替施行については新設校のみが対象となりましたが、近年、再開発が進み、著しく人口が増加している武蔵小杉地区で小杉小学校の立替施行を行い、同じく再開発により人口が増加している新川崎地区について、現在、(仮称)新川崎小学校の立替施行を進めています。

優良ビル建設資金融資事業については新規物件の融資を休止しているため、現在は貸付金の償還業務のみを行っていますが、施設の長寿命化の観点から新たにリフォーム融資事業を開始しました。

なお、ハウジングサロンについても継続的に運営してきましたが、当事業については2023(令和5)年4月に川崎市住宅供給公社に業務を移管し、市民への住情報提供窓ロを一本化しました。

また、良好な都市環境の形成に関する調査及び研究として、川崎市からの依頼により、まちづくりに係る各種調査事業を実施するとともに、2015(平成27)年4月からは、川崎市が設置した「川崎市木材利用促進フォーラム」の共同事務局として、市内の民間建築物等における木材利用に関する建築技術・ノウハウの向上、情報共有、木の価値などを高める木育等の国産 木材の利用促進•普及を行うための施策を支援しています。市民参加によるまちづくりの支援に向けた「川崎市まちづくり公社まちづくり支援制度要綱」については2022(令和4)年4月に制度の改定を行い、引き続き、地区を単位とした自主的なまちづくりを行おうとする 団体等に対してコンサルタントを派遣し、勉強会等の 支援を行っています。

主な事業

  • 各拠点地区におけるまちづくりを支える施設の整備・運営事業
  • 公共施設の維持保全に係る業務受託事業(年度協定業務)
  • 市の出資団体が運営する公共的施設の改修等についての業務支援
  • 優良ビル建設資金融資事業(償還業務のみ)及びリフォーム融資
  • 教育施設立替施行事業
  • 民間耐火ビル設計監理技術支援業務
  • ハウジングサロン
  • コンサルタント派遣
  • 木材利用促進フォーラムの支援

新百合トウェンティワン

川崎市が土地信託事業により20年間運用した後、平成22年に当公社が取得し、引き続き業務•文化施設として管理運営することによって新百合ヶ丘駅周辺地区における中核施設としての機能を維持している。

歯科医師会館の完成イメージパース

市の出資団体等が運営する公共的施設の改修等の支援業務の一環として取り組んでおり、当公社プロパー職員の直営の設計による新築建物であり、公社設立当初からの技術力を活かした設計•監理支援業務の流れをくむものでもある。

年度協定に基づく川崎市の公共施設の維持管理

市職員が行う公共施設の維持•保全に係る業務を代行することによって市の業務支援を行っている。

川崎市まちづくり局計画部都市計画課所蔵

2005年当時の武蔵小杉駅周辺地区

市は1990年代に策定した小杉駅周辺地区総合整備構想に基づき、地域の面的な再開発を戦略的に誘導してきた。その結果、2005年から武蔵小杉駅南口を中心とした各地区の再開発事業が連鎖的に実現し、15年程度の間に、駅前広場の整備、JR横須賀線武蔵小杉駅開業、各地区をつなぐ道路などの主要プロジェクト群が概成し、その中で、当公社もホテルと消防の合築によるクレール小杉の整備や、小杉小学校の建設などの事業を実施した。

川崎市まちづくり局計画部都市計画課所蔵

現在(写真は2022年)の武蔵小杉駅周辺地区

小杉小学校・竣工(2019年)時

再開発によって急増する児童数に対応するため、当公社の立替施行により新設校を建設した。計画に当たっては、地球温暖化やSDGsの視点から積極的に木材利用を行った。

クレール小杉・竣工(2008年)時

中原消防署の立替と併せてホテルを合築し、住宅、商業、業務機能の集積が進む武蔵小杉駅周辺地区の都市機能を強化した。